
当帰のはなし
冷え症や乾燥肌の方にとっては、これからだんだんと症状がつらくなってくる時期かもしれませんね。
今回は、漢方生薬の一つである当帰(トウキ)のお話をします。
当帰はセリ科の植物でセロリに似た香りを持ち、体を暖めながら補血する(乾燥を改善し、血行を良くする)ほか、安胎(妊娠に適した体内環境へ整え、妊娠中のトラブルを防ぐ)作用があるといわれます。
当帰の語源は「当(まさ)に帰る」、つまり子宝に恵まれなくて里へ返された嫁が、当帰を摂って妊娠しやすい体調へ整えてから夫の元へ帰る、あるいは里で出産後なかなか体調がすぐれない嫁が、当帰で体調を回復して夫の元へ帰る、などの意味があるといわれています。
一方、当帰は西洋では「Angelica」と呼ばれ、西洋でも昔から使われていたハーブです。
「Angelica」の語源は「Angel」、つまり天使のように婦人の諸病に効く聖薬という意味のほか、天使のような子宝に恵まれるという意味もあるそうです。
なので当帰は、西洋でも東洋でも同じ効用を持つとして名付けられ、用いられてきた薬草なんですね。