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私は便秘?毎日排便があっても便秘!?

便秘を自覚しない方もおられます。「毎日便が出るから便秘じゃないモン」なんて声がきこえてきそうです。毎日排便があっても、少しずつしか出ないと言われる方の場合、お腹をみせていただくと排便直後なのに、大腸内にしっかりと残った便を触れることがあります。これも便秘なのです。毎日排便があってもスッキリできないときは便秘の可能性があります。

「便秘なんてたまったらまとめて出せばいいのよ」 本当にそれでよいのでしょうか?

三日も四日もためてから、下痢(○○ーラック、××漢方便秘薬など)でドンと出してスッキリ。ひどくなると、グリセリン浣腸で好きなときに一気出し。借金と同じで溜まると返すのが大変!下痢が段々効かなくなり、医者に相談してみるかという方が多いのです。この頃になると大腸は伸びきってしまい、薬に反応がみられなくなります。お馬鹿になった大腸は切って捨てるしかなくなるのです。このような実例を最近も経験しました。やはり、早めの漢方、後が楽です。

「苦しくないから、便が出なくたって平気」 便秘するといいことがあるの?

もし、尿が出なかったらと考えてみてください。誰でもこりゃ大変だと思われるはずです。でも、大便だと…。生理前になると便が出なくなり、お腹が張って苦しくなることを経験された方も多いのではないでしょうか。同時に吹き出物が増えたり、肌が荒れたりして困ったという声をよく聞きます。便秘と肌荒れは密接な関係があり、江戸時代からこれに効く薬が売られていました。市販のお肌によいというお茶や健康食品には便通をよくする植物や成分が含まれていることも。また、「体重が増えてしまって、何とか減らしたい」と受診される方の多くが便秘されています。便通を整えることには肥満予防の点からも重要なのです。

便秘の種類とその対応

あなたの便秘歴はどのくらいになりますか?
最近、急に起きたことですか?
それともすでに長年のお付き合いになっていますか?

環境の変化や大きなストレスによるものでしたら、一時的なもので、市販薬で急場をしのげば何とかなるかもしれません。徐々に便が細くなった場合や血液が混じるようであれば、一度は大腸の精密検査を受けた方がよろしいでしょう。では、すでに長いお付き合いの場合は?慢性に経過している便秘では、まずは養生が肝腎ですが、適切に対処するためにも便秘のタイプを知る必要があります。腸がだらんとして動かない=弛緩性便秘、便意が弱くなる=直腸性便秘、腹痛を伴いやすく便秘と下痢を繰り返す=痙攣性便秘に大別されます。

さて、あなたの便秘はどれに当てはまるでしょうか。もうすでに気をつけておられるでしょうか。
実際のところ、便秘の解消には生活習慣の改善だけでは難しく、薬剤の助けを借りることが多いものです。
一般的に下剤は、大きく二つに分けられます。腸を刺激して蠕動を高める刺激性下剤と、便を軟らかくしてスムーズにするなど物理的作用する機械性下剤です。通常、生活習慣の見直しとともに、こうした下剤を作用の穏やかなものを少量から用いつつ、しばしば組み合わせて排便を管理することになります。しかしながら特に刺激性下剤では習慣性と長期の連用による腸管神経叢の破壊で効きにくくなることがあり、問題です。この結果、厄介な弛緩製の便秘が悪化することもまれではありません。また便が出なくなってからまとめて出そうとする下剤や浣腸の乱用は、直腸性便秘に陥っている可能性があります。「便が出なければ出す」ということであれば、確かに病院にいけばよく効くお薬は沢山ありますが、規則正しい排便習慣をつけるのが大切で、実は市販薬などの下剤を飲めば何とかなるというだけの簡単な話ではないのです。

便秘の漢方治療

便秘には、しばしば、吹き出物やシミなどの皮膚トラブル、いらいらや不眠といった精神症状、肛門周囲の鬱血による痔疾の悪化、その他、口臭や肩こりなど直接的な因果関係の分かっていないものも含めて、さまざまな症状が見られます。漢方治療では、便秘を解消するだけでなく、こうした諸々の随伴症状や身体的・精神的状態をあわせて体質を見極めて処方します。

下剤として用いられる漢方薬の中で、もっともシンプルなものの筆頭は「大黄甘草湯」です。これは大黄と甘草の2つの生薬から構成されています。大黄にはいわゆる"刺激性下剤"として用いられるセンノシドという主成分がありますが、この他にもタンニン成分も豊富に含まれています。大黄中のタンニン成分には、収歛作用(止瀉作用)や向精神作用(精神安定作用)も知られており、生薬"大黄"は単なる下剤ではないのです。これに調味料でもあり、胃腸薬でもある"甘草"を加えることで作用が穏やかとなり、腹痛が少なく飲みやすいものとなるのです。また、この「大黄甘草湯」に"芒硝"というミネラルが加わると「調胃承気湯」となります。"塩類下剤"としての作用が加わり、便が軟らかくスムーズになってくるのです。これがさらに発展して、血の巡りを整える"桃仁"や気の巡りを整える"桂枝"が加われば、各種婦人病にも頻用される「桃核承気湯」となります。このような緩下作用の強い"大黄"が含まれる漢方エキス製剤は約20処方ほどになりますが、様々な生薬の組み合わせによって単なる下剤ではなく、抗ストレス作用を発揮したり婦人病に応用されたりと、多角的な効能を有しているのです。

西洋医学でも、きちんとした見立ての上で各種の下剤や消化管運動促進剤・精神安定剤などのオプションを上手に組み合わせることで治療が奏功しますが、東洋医学では心身全体の状態を多面的に改善することを目標とし、単なる便秘薬とどまらず生活習慣病や日常の問題に併せて対処することが得意です。便秘の治療は漢方に軍配!と私は考えます。普段は腸の訴えをあまり意識することはありませんが、身体を支え続ける大切な器官です。大事に管理してあげて、長く健康を保ちたいものです。

便秘のタイプと養生法

  • 弛緩性便秘は便意・排便回数が乏しい、硬い便が特徴です。高齢者・虚弱者や出産後などにみられ、腹筋・腸の蠕動が弱いため起こります。適度な歩行運動、適度な脂肪・水分・食物繊維(玄米・野菜・果物・海藻類)を摂ることで改善されます。最近は若い女性にも増えています。ダイエットの影響も無視できません。便の量が少ないという場合、食事の量が少なくないか、食物繊維が少なくないか見直す必要があります。
  • 直腸性便秘は便意を感じない、浣腸に頼っている、便が大きくて硬いことが特徴です。排便を我慢することや下剤や浣腸の乱用により起こります。毎朝、朝食後に排便する習慣を持つ、腸内善玉菌を増やす、脂肪をとりすぎない、下剤の使用を控えることで改善されます。
  • 痙攣性便秘は便意があっても出にくい、下痢になる、反対にウサギの糞のようにコロコロの便になることが特徴です。睡眠不足やストレスにより、腸の蠕動が不安定になっている(過敏性腸症候群)ため起こります。ストレス・睡眠不足を避け、適度な運動をする、辛いものなどの刺激物を控える、水溶性(海藻類)食物繊維をとることで改善されます。