
秋の七草と漢方

「萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花」(万葉集 巻八)
秋の七草は、万葉集にある山上憶良の歌に由来します。ここにある“朝顔”とは“桔梗”であるとされ、萩・ススキ・葛・ナデシコ・女郎花(オミナエシ)・藤袴・桔梗で7つとなります。
春の七草のように食したり祭事に用いることはなく、鑑賞し俳句や短歌に詠まれる秋の風物詩ですが、実はこの中にある“葛”と“桔梗”の根は漢方で主要な生薬です。
葛根は有名な“葛根湯”に含まれています。発汗・鎮痛作用があって風邪・肩こりに、効果があります。桔梗には鎮咳・去痰・抗炎症作用があって咽の痛みや声枯れがある時に用いられます。咽の痛みに“桔梗湯”は有名です。また葛根と桔梗がともに入っている処方では“参蘇飲”があり、これも胃腸の弱い人によく用いられる風邪薬です。
風邪のひき始めに、秋の草花がお役にたつこともあるかもしれませんが・・・残暑と秋風の入り混じるこの季節、咽チクの風邪、肩こりの風邪・・・皆様どうぞご用心下さい。