保険が使える漢方診療・漢方治療 証クリニック 東京吉祥寺・東京千代田区神田(漢方内科・内科・神経内科・漢方消化器内科)

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新型コロナウィルス感染症罹患後症状について

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の後に症状が2カ月以上長引いている方がかなりおられるようです。代表的な罹患後症状(いわゆる後遺症)は以下の通りです1)

  • 疲労感・倦怠感 関節痛 筋肉痛
  • 咳 喀痰 息切れ 胸痛 脱毛
  • 記憶障害 集中力低下 頭痛 抑うつ
  • 嗅覚障害 味覚障害 動悸 下痢 腹痛 睡眠障害 筋力低下

「これらの症状は3か月時点ではおよそ半数に認められ、その後、経時的に改善した。しかし、12か月後でも13%の患者で症状あるいは検査異常が残存していた。」と報告されています2)

新型コロナウィルス感染症罹患後症状の漢方治療

罹患後症状に対する有効な治療法はまだ報告されていません。
しかし、漢方治療は一定程度有用であり、改善していく例を多数経験しています。

当院の漢方治療は漢方医学的診察に基づいて行っています。
伝統医学的研修をしている医師にとっては通常の診療であり、COVID-19に限ったものではありません。

ただ注意すべきポイントには二つあると思います。

第1点は罹患前からある弱いところを考慮した治療をすることです。罹患後症状では様々な症状が出現するとされているのですが、筆者(伊藤隆総院長)の経験ではその大部分は気力体力の消耗とともに、罹患前より内在していた病態が顕わになっている事例が多いように思われるのです。

疾患としては貧血、鉄欠乏症、うつ病、喘息、亜鉛欠乏等がみられました。漢方医学的には何等かの虚証と言えます。内科学的には血清亜鉛値、貯蔵鉄量を示すフェリチン値の測定が望ましいです。特にフェリチン値12ng/ml以下は測定業者データでは正常範囲ですが、貧血がなくとも鉄剤の補充を要する場合が多く注意が必要です。

第2点は漢方医学的な「熱」を冷ます。西洋医学的には炎症を抑えることになります。体温37℃以下で炎症反応が陰性でも漢方医学的診察を通じて「熱」が残存していると診れれば、消耗低下した体力を補うと同時に炎症に対する治療を行うことになります。

気力体力を補うという意味では三大補剤と呼ばれる補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)に期待が寄せられるところですが、これらの漢方薬には炎症を抑える作用に弱いところがあります。

罹患後症状だからすべて虚証とは限りません。たとえば胸痛に対して用いる柴陥湯(さいかんとう)は炎症を抑える作用が強く、実証が適応です。

罹患後症状は対症療法的に一つか二つの薬で治せると考えるべきではありません。それぞれの病状に応じた治療を行うことが回復に繋がります。まさに漢方医学的診察が求められる病態なのです。

受診ご希望の方は療養期間を過ぎてから来て下さるようお願い申し上げます。当院では急性期の方に対する感染予防対策をとることができません。よろしくご協力ください。

文献
1) 新型コロナウイルス感染症診療の手引き別冊罹患後症状のマネジメント第2.0版 2022Oct, https://www.mhlw.go.jp/content/000952747.pdf
2) 横山 彰仁他: COVID-19感染回復後の後遺障害の実態調査(厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究), https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/145944.