こむら返りにお悩みの方へ

「夜中に突然の激痛で目が覚める…」
「こむら返りの薬として有名な芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を試したが、効果が実感できない」
「持病があるので、漢方薬でも副作用が心配…」

このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
こむら返りの治療薬として広く知られる漢方薬「芍薬甘草湯」ですが、実は体質や症状によっては効果が出にくい場合や、長期服用が推奨されないケースもあります。

この記事では、長年こむら返りに悩む方、特に芍薬甘草湯以外の選択肢を探している方に向けて、体質や症状に合わせた他の漢方薬や西洋薬について詳しく解説します。
漢方薬と西洋薬それぞれの副作用やリスク、持病がある場合の注意点まで網羅しているため、薬に対する漠然とした不安を解消できます。

この記事を読めば、ご自身に合った安全な治療法を見つけるための一歩を踏み出せるはずです。つらい痛みと再発への不安から解放され、安心して眠れる毎日を取り戻しましょう。

そんなあなたに、漢方による体質改善を提案します。
漢方では、つらい症状を一時的に抑えるだけでなく、不調の根本原因に働きかけることを目指します。

こむら返りの名薬「芍薬甘草湯」とは

こむら返りの治療といえば、まず名前が挙がるのが「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」です。

この漢方薬は、筋肉の緊張をゆるめる「芍薬」と、痛みを和らげる「甘草」という2つの生薬で構成されています。この組み合わせが、筋肉の急なけいれんを素早く鎮めるため、特効薬として広く用いられています。

しかし、誰にでも効果があるわけではありません。体質に合わない場合や、こむら返りの根本的な原因が他にある場合は、効果を実感しにくいことがあります。また、甘草の成分による副作用のリスクから、高血圧や腎臓病、心臓病などの持病がある方や、長期的な服用には注意が必要です1)。そのため、芍薬甘草湯が効かない、あるいは使えないと感じる方は、他の選択肢を検討することが大切です。

【体質・症状別】次に選択される漢方薬4選

芍薬甘草湯が合わない場合でも、こむら返りに効果が期待できる漢方薬は他にもあります。

漢方では、その人の体質や症状全体をみて薬を選ぶ「(しょう)」という考え方を重視します。

漢方薬名 こんな方におすすめ(体質・症状) 主な効果
1 疎経活血湯 血行が悪く、足腰の痛みやしびれを伴う 血行を促進し、痛みやしびれを和らげる
2 四物湯 冷え性で貧血気味、皮膚が乾燥しやすい 「血」を補い、体を温めて筋肉の栄養状態を改善する
3 牛車腎気丸 高齢者で、足腰の衰えや夜間頻尿がある 「腎」の働きを高めて足腰を丈夫にし、痛みしびれを改善する
4 真武湯 冷えがあり、ふらつきのためにまっすぐ歩けない 手足をあたため、筋肉に力をつけ、関節の痛みを改善する

ご自身の体質や、こむら返り以外の症状も考慮して、最適な漢方薬を見つけましょう。

1 血行不良による痛みやしびれを伴う方に「疎経活血湯(そけいかっけつとう)

疎経活血湯は、血行を改善して筋肉や関節の痛みを和らげる漢方薬です。
「気」と「血」の流れをスムーズにし、体内の余分な水分を取り除く働きがあります。そのため、冷えや湿気が原因で血行が悪くなり、痛みやしびれを伴うタイプのこむら返りに適しています。体力は中等度で、特に腰から足にかけて痛みを感じやすい方におすすめです。
実際に、芍薬甘草湯が効かなかったこむら返りの患者さんに、疎経活血湯が有効であったという報告もあります2)

2 冷え性で貧血気味、皮膚が乾燥しがちな方に「四物湯(しもつとう)

四物湯は、漢方でいう「(けつ)」を補う代表的な薬で、「血虚(けっきょ)」と呼ばれる栄養不足の状態を改善します。
血虚になると、筋肉に十分な栄養が行き渡らず、けいれんを起こしやすくなります。顔色が悪く、皮膚がカサカサ乾燥しがちで、冷え性や貧血の傾向がある方のこむら返りに効果が期待できます。特に、体力が低下している女性や高齢者の方に適しています。
高齢の女性において、こむら返りの改善効果が報告されています3)

3 高齢者で足腰の衰えや夜間頻尿を伴う方に「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

牛車腎気丸は、体を温め、漢方における生命エネルギーの源である「(じん)」の働きを補う漢方薬です。
加齢とともに腎の機能が衰える「腎虚(じんきょ)」になると、足腰が弱り、冷えや頻尿、むくみなどの症状が現れやすくなります。
牛車腎気丸は、このような加齢に伴う症状を伴うこむら返りに用いられます。疲れやすく、手足が冷え、腰痛や夜間の頻尿に悩んでいる高齢者の方におすすめです。
肝硬変に伴うこむら返りに対して、芍薬甘草湯と同等の効果が期待できるという報告もあります4)

4 体力が低下し、手足が冷え、ふらつきのためにまっすぐ歩けない方に「真武湯(しんぶとう)

真武湯は、高齢者などで手足冷え、新陳代謝が低下し、体力が低下し歩行時にふらつきを覚える方が適応です。手足の冷えにより「気」「血」の流れが滞り、筋肉が過度に緊張してしまうタイプのこむら返りに適しています5)

くりかえすこむらがえりは西洋薬の副作用による場合がある

当院を受診される方には、漢方薬を服用してこむらがえりは改善するけれど、何度もくりかえして出現してくるので困っている、という症例が少なくありません。

高脂血症、高血圧に対して長年服用してきた西洋薬によってこむらがえりをきたす場合があるのです。通常の副作用と異なることは、薬を服用開始してすぐ症状が出るのではなくて、それこそ10年以上も服用してなんともなかった薬によって発症してくるので、医師も患者も気がつきにくいのです。

このこむらがえりは漢方医学的には加齢などによって気血が衰えてきて発症すると考えられます。西洋薬治療をしていて、40歳代、50歳代はなんともなかったけれど、60歳代、70歳代になってこむらがえりが発症してくるのです。原因が疲労など回復可能であれば薬剤を再開できますが、加齢のように不可逆的要因による場合は、他の薬剤に変更する必要があります。

こむらがえりの原因として多い西洋薬には、抗高脂血症薬(特にスタチン系)、カルシウム拮抗薬(特にアムロジピン)などがあります。病状が許せばですが、スタチン系抗高脂血症薬であれば服用回数を減らす(連日から隔日など)、あるいはカルシウム拮抗薬であればアムロジピンを降圧作用のより緩徐な他の薬剤に変更するなどの工夫を、担当医と相談してなさってみてください。そうした工夫でこむらがえりが消失する場合はかなり多いのです。

持病がある方の注意点|こむら返りの薬を飲む前に医師・薬剤師へ相談を

こむら返りに悩むことが多い40代〜70代の方は、何らかの持病をお持ちの場合も少なくありません。特定の持病がある方は、薬の選択に特に注意が必要です。

安易な自己判断は避け、必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。

薬だけに頼らない!
今日からできるこむら返りの予防・セルフケア

こむら返りの根本的な解決には、薬物療法と合わせて生活習慣を見直すことが非常に重要です。

対策 具体的な方法 ポイント
水分補給 就寝前や運動の前後、入浴後などにコップ1杯の水を飲む。 一度にがぶ飲みせず、こまめに補給することが大切です。
ミネラル補給 バナナ、ナッツ、海藻、乳製品などを食事に取り入れる。 マグネシウム、カルシウム、カリウムのバランスが重要です。
ストレッチ 寝る前にアキレス腱やふくらはぎをゆっくり伸ばす。 痛みを感じない程度に、気持ちよく伸ばしましょう。
体を冷やさない ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる。レッグウォーマーなどを活用する。 夏場のエアコンによる冷えにも注意が必要です。
適度な運動 ウォーキングなど、ふくらはぎの筋肉を使う運動を習慣にする。 筋肉の衰えを防ぎ、血行を促進します。

日々の少しの工夫で、つらい痛みを予防することができます。

まとめ:自分に合う薬を見つけ、夜も安心な毎日を取り戻しましょう

こむら返りの治療薬は、有名な「芍薬甘草湯」だけではありません。ご自身の体質や症状に合わせて、様々な漢方薬や西洋薬から適切なものを選ぶことが可能です。

  • こむら返りの原因は多様で、芍薬甘草湯が合わない場合もある
  • 漢方薬は体質や随伴症状によって選択肢が変わる
  • 西洋薬の副作用による場合があり、正しい知識を持つことが重要
  • 薬と合わせて、日々のセルフケアで予防に努めることが大切

最も重要なのは、ご自身の判断だけで薬を選ばないことです。この記事を参考に、ご自身の症状や体質について整理した上で、ぜひ医師や薬剤師などの専門家にご相談ください。
あなたに合った最適な治療法を見つけ、つらいこむら返りの悩みから解放されましょう。

参考文献
1)塚本晶子他, 医療薬学 2007; 33: 687-692.
2)田原英一他, 日東医誌 2011; 62(5): 660-663.
3)伊藤隆他, 日東医誌 2015; 66(3): 244-249.
4)西澤芳男, 痛みと漢方 2000; 10:13-18.
5)木村洋子他, 日東医誌 2015; 66(4): 302-306.

文責:伊藤隆
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