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暮らしと漢方

潤いの生薬「麦門冬」

クイズです。AとB、どちらが麦門冬でしょう?

潤いの生薬「麦門冬」

この秋、ブドウの房を逆さにしたような沢山の小さな青い実を付けた植物を、どこかで見かけませんでしたか?
11月に入った今は、もう実は落ちてしまったかと思いますが、案外あなたの身近の庭園や街路樹の植え込みにまだあるかもしれません。

AとB、とても似ていますね。
どちらもユリ科ですが、麦門冬(B)はジャノヒゲ属、藪蘭(A)はヤブラン属です。
両者は花と実のつき方と色で見分けられます。麦門冬は下向きに咲き実は瑠璃色。藪蘭は上向きに咲いて実は黒(図は熟していないので緑色ですが…)です。
葉の姿から麦門冬は”蛇の髭”と呼ばれますが、その細い葉から”龍”(蛇にはヒゲはありませんね)の髭をイメージしたもの言われています。
ちなみに蘭のようなすっとした葉からの”ヤブ蘭”と言いますが、その葉じゃジャノヒゲより少し幅広です。ヤブ蘭といいつつ、蘭の仲間ではありません。
もし気づいたら、どっちかな…とぜひご覧になってください。

この麦門冬の根(膨大部)は生薬で、気道・皮膚・粘膜を潤す作用があり、痰を切れやすくしたり、肌の張りをよくする効果があります。空咳・痰の切れにくい咳、口腔乾燥(シェーグレン症候群)、皮膚乾燥症に対する治療に用います。
麦門冬を含む処方:麦門冬湯 温経湯 当帰飲子 清暑益気湯 清肺湯など

※植物の分類はこの数十年で変遷を遂げています。
ヤブランは、新エングラー体系・クロンキスト分類ではユリ科ヤブラン属でしたが、APG III分類体系ではキジカクシ科に分類されるようになりました。
新エングラー体系は旧分類なのですが、現在日本の植物図鑑・植物園ではこれが広く使われていて、日本薬局方の記載もこれになっています。

c.f.
新エングラー分類体系
1900年ごろにドイツのエングラーが提唱した分類で、修正・発展したもの。植物の形態・構造的特徴と進化を考慮した分類。被子植物を双子葉類と単子葉類に大別します。双子葉類をさらに合弁花と離弁花に分けます。
クロンキスト体系
1988年にアーサー・クロンキストが提唱した分類。双子葉類を合弁花と離弁花に分けていた概念をなくしました。さらにいくつかの科も変更されています。
APG分類体系
1990年代にAngiosperm Phylogeny Group(被子植物系統発生グループ)により提唱されたゲノム解析による分類の一つ。2009年のAPG III分類が広まりつつあるが、現在も検討が続けられている。